モンテッソーリ教育の「言語教育」とは?

モンテッソーリ教育における言語教育は、子どもの自然な発達を促進する方法として、特別な環境と教具を用いて行われます。

モンテッソーリの理論では、言語は人間の思考や文化を表現する重要な手段であり、子どもが成長しながらその習得を自発的に行えるような環境が整えられることが重視されています。

モンテッソーリ教育における言語教育は、特に0歳から6歳までの吸収する精神の時期に重点が置かれ、言語の習得は自然なプロセスの一部とされています。

目次

言語教育の段階

モンテッソーリ教育の言語教育は、幼児期の発達段階に応じて、以下のように段階的に進められます。

言葉の準備段階(0歳~3歳)

最初の言語発達は、子どもが環境の中で聞く言葉を吸収する段階から始まります。

この段階では、親や教育者が子どもと頻繁に対話することが非常に重要です。

モンテッソーリ理論では、言葉を発する前から子どもは言語の準備をしているとされ、赤ちゃんは無意識のうちに聞こえる音を吸収し、その後、やがて言葉として表現し始めます。

この過程は、子どもが日常的に耳にする音や語彙が将来の言語能力に大きな影響を与えると強調されます。

言語の探求と発達(3歳~6歳)

3歳以降、子どもは「言葉の爆発期」と呼ばれる時期に入り、自発的に多くの言葉を発し始めます。

この時期にモンテッソーリ教室で行われる言語教育の中心は、環境が子どもに言語への関心を持たせることです。

モンテッソーリ教具の中には、「音素」を使ったカードや、文字を視覚化したものなど、子どもが言語を自然に学べるようなものが多く含まれています。

例えば、砂文字(砂紙のアルファベット)を使って、子どもは指で文字をなぞりながらその形や音を覚えます。

この触覚的な活動は、視覚と聴覚の結びつきを助け、記憶に強く残る言語学習を促進します。

読み書きの導入と発展(4歳~6歳)

4歳頃からは、子どもは音の認識から書く能力、読む能力へと進化します。

モンテッソーリでは、「書くこと」が「読むこと」よりも先に来るという考え方が取られており、子どもが文字を書くことで、言語に対する理解が深まるとされています。

※「読むこと」というのは、『言葉の意味を分かる』ということを指し示しており、『読み方』を意味するものではありません。

このアプローチでは、書くこと自体が手先の器用さや集中力を育て、子どもは自然に文章を書く技術を習得していきます。

その後、読む力が自然に発展し、単語を読み取る力が育っていくのです。

言語教育の流れ

モンテッソーリ教育の言語教育は、「話し言葉」「書き言葉」「読み言葉」の3つの側面から構成され、それぞれが子どもの発達段階に応じてバランスよく進められていきます。

これにより、子どもは言語に対する理解を深め、自分の表現力やコミュニケーション能力を磨くことができます。

『話し言葉』の教育

モンテッソーリ教育の言語教育は、まず「話し言葉」から始まります。

子どもが生まれてから最初に接する言語は聞くことから始まり、その後、発語が始まります。

この過程で重要なのは、子どもが自分のペースで言葉を学べる環境を提供することです。

絵本の読み聞かせ

子どもが豊かな言葉に触れるための重要な手段として、絵本の読み聞かせが積極的に行われます。

物語やイラストを通じて、子どもは新しい語彙や文脈に触れ、言葉の理解が深まります。

言葉遊びや絵カード合わせ

楽しみながら語彙を増やすために、言葉遊びや絵カードを使った活動が行われます。

例えば、動物の名前や物の名前を学びながら、子どもが自然に言葉を発することが促されます。

三段階の名称練習

この方法では、まず物の名前を教え(提示)、次にその名前と物を一致させ(認識)、最後に子どもが自らその物の名前を言う(言語化)というステップを踏みます。

この段階的な方法は、子どもの理解を深めるために非常に効果的です。

『書き言葉』の教育

「書き言葉」の教育は、子どもが言葉の音や形を視覚的に認識し、自分の手で表現することに重点を置いています。

書き言葉の学習は、読み言葉と密接に関連しており、音の識別や文字の形を理解することで、子どもが文字を書く力を身に付けていきます。

音遊び

言葉の音に対する感覚を養うために、リズムや歌、言葉遊びが用いられます。

これは、子どもが音の違いやパターンを認識しやすくなるための準備となります。

運筆練習

モンテッソーリでは、子どもがスムーズに文字を書くための運筆練習が行われます。

例えば、指を使って砂文字板や砂の上で文字をなぞることで、手と目の協調が発達し、筆記の準備が整います。

文字の識別遊び

モンテッソーリでは、文字を識別するための遊びや教具が豊富に用意されています。

子どもは木製の文字や砂文字を使って、自分で文字の形を感じ取り、それを紙に書く練習をします。

『読み言葉』の教育

読み言葉の教育は、書かれた文字を見て、それを音に変換し、意味を理解する能力を育むことを目的としています。

モンテッソーリでは、書き言葉の習得と並行して、読み言葉の練習が行われます。

これは、書き言葉が子どもの中でしっかりと根付くことによって、自然と読み言葉も発達するためです。

物と名前のカード

子どもが物の名前を文字で認識できるように、カードに書かれた文字と物の名前を一致させる活動が行われます。

これにより、子どもは単語の形と意味を結びつける練習をします。

仲間集めや小さい本

仲間集めという遊びを通じて、子どもは関連する単語や概念を学びます。

また、簡単な文章が書かれた小さな本を読むことで、子どもは自然に読みのスキルを高めます。

文法の学習

モンテッソーリ教育では、言語教育の一環として、文法の概念にも触れます。

品詞の機能や文章の構成を学び、言葉の使い方をより深く理解するためのステップが用意されています。

文法の学習は、単語や文章の構造を視覚的に理解するための教具を使って行われ、子どもが言葉の使い方をより細かく認識できるようになります。

おわりに

モンテッソーリ教育における「言語教育」は、子どもの自然な発達プロセスを尊重しながら、段階的に言語能力を育てる重要な分野です。

話し言葉、書き言葉、読み言葉という3つの側面をバランスよく発達させ、子どもが自分のペースで言語を習得していく環境を整えることが、モンテッソーリ教育の特徴です。

また、教具を使った遊びや活動を通じて、子どもは楽しく学びながら言葉の理解を深め、コミュニケーション能力を向上させます。

言語教育は、子どもが自己表現を学び、他者との対話を深めるための大切な基盤となります。

言語は単なるコミュニケーション手段としてだけでなく、子どもの思考力や創造力を引き出す手段でもあるため、とても重要な活動です。

まな
幼児教室指導員 / おもちゃコンサルタント
モンテッソーリ理論の理解を深め、おうちモンテッソーリに応用する方法を研究中。医学論文や育児書を読み漁るのが好きな1児ママ。田舎で3歳児を子育て中。国際モンテッソーリ資格有。

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