モンテッソーリ教育の「日常生活の練習」とは?

本記事のリンクには広告が含まれています。

モンテッソーリ教育での「日常生活の練習」は、子どもが日々の生活の中で行う基本的な活動を通じて、自己管理、集中力、秩序感、そして社会的なスキルを身につけるための重要なプログラムです。

目次

日常生活の練習の目的

『子どもの精神-吸収する精神-』では、子どもが自分の手で環境を管理し、生活を送ることで、心身が発達し、知性も自然と育まれるとされています。

また、子どもが「自分でできる」という成功体験を積み重ねることは、彼らにとって大きな動機付けとなり、さらなる学びに対する意欲を引き出します。

手指の巧緻性と観察力の発達

モンテッソーリ教育では、手指の巧緻性を育むことが特に重視されます。

たとえば、ボタンをかける、ナイフとフォークを使う、掃除をするなどの活動は、子どもの手の運動能力を高めるだけでなく、細かな作業に対する集中力も養います。

この巧緻性の発達は、後にモンテッソーリ教具を使用する際に非常に役立ちます。

また、これらの活動は子どもの観察力を育てます。

子どもが自分で環境を整える経験を通して、細部に目を向ける能力が発達します。

この「見る力」は、教具を扱う際にも活かされ、大人からの提示を観察する力や、教具を操作する際の注意力につながります。

信頼関係の構築と学びの基盤作り

日常生活の練習を通じて、子どもは大人との信頼関係を築きます。

この信頼は、モンテッソーリ教育において大人から提示を受けるための基盤となります。

子どもが自分でできることを増やし、大人の助けを必要としなくなることが、自信を高める要因となります。

これにより、子どもは安心して教具の使用や学びの場に取り組むことができ、学びの連続性が生まれます。

教具への準備

モンテッソーリ教育では、教具の使用が重要な役割を果たします。

しかし、これらの教具を効果的に使用するためには、日常生活の練習を通じて基礎的なスキルが身についていることが不可欠です。

たとえば、手指の巧緻性が未発達な子どもは、教具を正確に扱うことが難しいため、まずは日常生活の練習を通して、基本的な操作の習得が求められます。

日常生活の練習・3つの段階

日常生活の練習は、モンテッソーリ理論において、以下の3つの段階に分けて考えられます。

受容(観察)

   最初に、子どもは大人や環境の行動を観察することから始めます。

この段階では、子どもは直接的な指導を受けるのではなく、環境の中で自発的に観察し、どのような行動が求められているのかを学びます。

例えば、大人が掃除や食事の準備をする様子を見て、同じことを自分でもやりたいという気持ちが芽生えます。

維持(繰り返し練習)

   次に、子どもは観察した行動を自ら実行し、それを繰り返すことでスキルを身につけます。

この段階では、繰り返し練習することで、動作が洗練され、正確で効率的なものとなっていきます。

例えば、掃除の練習を繰り返すことで、モップの使い方や掃除の手順がスムーズになっていきます。

創造(発展)

   最終段階では、子どもは習得したスキルを基に、新しい活動を自発的に創造し始めます。

例えば、掃除のスキルを活かして、自分の持ち物やおもちゃを整理整頓する方法を考えたり、新しい方法で自分の環境を整えることができるようになります。

この段階は、子どもが自分自身の能力を活かして創造的に問題解決する力を育む機会を与えます。

日常生活の練習・4つの分野

モンテッソーリ教育では、日常生活の練習は次の4つの分野に分けて考えられます。

基本的な運動

   物を運ぶ、掃除をする、食事の準備をするなど、日常的な動作を通して、体の使い方や運動能力を向上させることを目指します。

これにより、粗大運動と微細運動の両方が発達し、身体のコントロールが向上します。

社交的な振る舞い

   あいさつや感謝の表現、他者とのコミュニケーションを学ぶことを目的としています。

子どもは社会の中で適切な振る舞い方や礼儀作法を習得し、他者との協力を学びます。

これは社会性の発達に大きく寄与します。

環境への配慮

   自然環境や身の回りの物を大切にする心を育てます。

例えば、植物に水をやったり、使った道具を片付けたりすることで、子どもは自分の周囲に対する責任感を学びます。

自己への配慮

   健康や生活習慣に対する自己管理能力を育てます。

手洗いや歯磨き、身だしなみを整えることなど、自己の衛生管理や健康を維持するためのスキルを身につけます。

これにより、子どもは自分の身体や健康を大切にする習慣が形成されます。

おわりに

モンテッソーリ教育における「日常生活の練習」は、子どもたちが日々の生活の中で自立した存在となり、環境と積極的に関わりながら成長するための重要な基盤です。

受容、維持、創造の三段階を通じて、子どもは自らの力で学び、周囲の環境や人々との関わりを深めていきます。

また、モンテッソーリ教育の導入や基盤となる大切な活動です。

まな
幼児教室指導員 / ベビー知育インストラクター / おもちゃコンサルタント
モンテッソーリ理論の理解を深め、おうちモンテッソーリに応用する方法を研究中。医学論文や育児書を読み漁るのが好きな1児ママ。田舎で3歳児を子育て中。国際モンテッソーリ資格有。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次