「子どもに英語を学ばせたいけれど、家庭での取り組み方がわからない…」そんな悩みを抱える親御さんは多いのではないでしょうか。
実は、モンテッソーリ教育の視点から見ると、言語習得には「1言語1つの顔」という興味深い原則があります。
- 家庭で子どもに英語教育を始めたいと考えている方
- 子どもの言語発達に関する効果的なアプローチを探している方
- バイリンガル教育に関心があり、具体的な方法を知りたい方
- 子どもが複数の言語を混同せずに学ぶ方法を知りたい方
モンテッソーリ式バイリンガル学習は1言語1つの顔が原則
モンテッソーリ教育で「1言語1つの顔」という原則が重視されるのは、子どもの発達段階や言語習得のプロセスを深く理解したうえでのアプローチだからです。
この原則の背景には以下のような理由があります。
1. 言語を明確に区別するため
子どもは幼少期に周囲の環境から言語を自然に吸収しますが、同じ人が複数の言語を使用すると、言語の違いを認識しづらくなる可能性があります。
この原則では、1つの言語に1つの明確な話し手(顔)がいることで、子どもが言語を混同せず、それぞれをしっかりと区別できるようになります。
2. 子どもの敏感期と吸収精神に配慮
モンテッソーリ教育では、0〜6歳は「言語の敏感期」と呼ばれ、子どもが最も効率的に言葉を学ぶ時期だとされています。
また、吸収する精神という特別な状態にあるため、乳幼児期の前半においては特に情報整理されないまま知識が取り込まれてしまうのです。
一つの箱にとりあえず何でもかんでも分類することなく知識を放り入れてる感じのイメージ。
乳幼児期後半になると、知識整理が行われる時期になりますが、その際に手がかりがないときちんと分類できないですよね。
カテゴリー分けする箱に知識を分類していくときにラベリングされてない知識(手がかりがない情報)は分類しづらいです。
この時期に、1言語1つの顔という一貫した方法をとることで、子どもの自然な学びを最大限に引き出すことができます。
3. 一貫性が安心感と集中力を生む
幼い子どもは、一貫性がある環境で安心感を覚えます。乳幼児期には、秩序の敏感期があり、いつもと同じことに対して安心します。
たとえば、母親が一貫して日本語、父親が英語を話すと決めることで、子どもはそれぞれの言語を自然に結びつけられます。
一方、1人の話し手が頻繁に言語を切り替えると、子どもに混乱が生じ、言語習得のプロセスが遅れる可能性があります。
下手をすると、混ざった言語で習得してしまいます。
カタカナ英語を頻用する日本人みたいなイメージになってしまう可能性ありです。
4. 実生活での応用力を高める
言語は単なる音の組み合わせではなく、それを話す人や文化、表現方法と密接に関わっています。
「1つの顔」による言語習得は、その言語が使われる文化や状況もセットで学べるため、実生活での応用力が高まります。
5. 科学的根拠に基づいたアプローチ
心理学や言語学の研究によると、複数言語を学ぶ際には、明確な使い分けをする環境が効果的だとされています。
たとえば、バイリンガル教育の研究では、「1人1言語法」(One Parent, One Language: OPOL)が推奨されることが多いです。
この方法は、モンテッソーリ教育の「1言語1つの顔」の原則と一致しています。
モンテッソーリ式バイリンガル教育には親の努力が不可欠
もしも親が多言語を話せる場合、子どもに親が多言語を教えるというのは自然な流れかもしれません。
しかし、子どもが言語習得をする中で、一人の人間から多言語を教わるというのは、実は混乱を伴う方法です。
大人が複数の言葉を喋れたとしても、言語を学ぶ初期の段階においては、どれか一つの言語を一人が担当するという形で一貫性を持たせること。
場面によって、使う言語が変わるなどということは控えた方がいいです。
多言語が日常的に使われるヨーロッパ圏ではバイリンガルが環境によって自然と育てられます。
母は英語、父はイタリア語、友人の1人はフランス語、ある友人はドイツ語…など、常に一貫性を持った取り決め(言語担当)をすることによって、多言語習得は叶うのです。
親としては喋れるのに喋れないのはもどかしいかもしれません。
ですが、子どもの混乱を防ぐのに有用な方法です。
バイリンガル教育をする際には、ぜひ取り入れたい方法ですね。
おわりに
モンテッソーリ教育で「1言語1つの顔」という原則が重要視されるのは、子どもが言語を混同せずに吸収し、安心感を持ちながら効率よく学べる環境を提供するためです。
これは、言語だけでなく、その文化や使われ方まで学べる統合的なアプローチであり、子どもの健全な言語発達を支える土台となります。