この本は既に絶版しているもので、中古でしか入手できない本ですが、手に入るのであれば高額であっても買って欲しいと思うほど、目から鱗な哲学が詰まってます。
私も定価ではありませんが、運良く、新品に近い状態のものをメルカリでゲットすることができました。
中古が出回ってる時期、全く出回らない時期があるので、出品自体がなく、欲しいと思った時に手に入らないということも。
『モンテソーリの発見』E.M.スタンディング著
モンテッソーリ教育の最高の解説書とも言えるこの本。
めちゃくちゃ分厚くて中身が濃いです。
こちらの本の翻訳本になるものです。
英語でも大丈夫だよという人は、こちらだと安く手に入ります。
ちなみに私は、英語の本も日本語の本も両方持っています。
モンテッソーリ教師必読書であるシリーズを読んだ方にはわかると思いますが、マリア・モンテッソーリ自身の言葉がつづられている本はとにかく読みにくいのが特徴。
↑このシリーズです。
ニュアンスが変わらないように敢えて意訳していないのだと思いますが、そのおかげで、考えながら読まないといけないです。
普段、大衆向けの本を読む時は1〜2時間で1冊を読み終えるのですが、マリア・モンテッソーリ博士の本のシリーズは1冊1ヶ月以上かけて読みました。
モンテッソーリ博士の本の特徴として、結構、例え話が多かったり、事例の話が多いので、話の要点を自分で分析し直さないといけない場合が多いです。
翻訳されたものになるので余計に内容が複雑だと感じてしまうんですね。
ですが、こちらの『モンテソーリの発見』は、モンテッソーリ博士ではなく、モンテッソーリ博士に共感するE.M. スタンディング氏によって編纂されたもので、それを日本語訳したものになりますので、非常に読みやすいです。
スタンディング氏は、モンテッソーリ教育の理念を理解し、それを研究・分析することで、世界中に広める手助けをした人です。
モンテッソーリ博士が生前に構築した教育理論や実践方法を後世に伝える役割を担い、現在でも多くの教育者や研究者がこの本を参考にしています。
目次を見ると、ただただワクワクしてしまうような、おびただしい項目数(笑)
ということで、本の中身を一部紹介するよりも目次全体を紹介したほうがモンテッソーリ好きな人は絶対ワクワクすると思うので目次をどうぞ。
『モンテソーリの発見』の目次を紹介
1部 マリア・モンテッソーリの生涯
1章 準備
- 生いたち
- 職業選び―「教師にだけはなりません」
- 学生時代の試練
- 予言的なできごと
- 心身障害児との出会い
- 和解
- 精薄施設の長となったモンテソーリ
- 直感のめざめ
- 未知の将来への準備
- 研究の第二期
- 講師と開業医
- 大学講師としてのモンテソーリ博士
2章 発見
- 新たなコロンブス
- 準備が整って
- 登場人物
- 開園の辞
- 幕が開いて―おとぎの国に住む
- 驚くべき集中力
- 繰り返しの作業の愛好
- 秩序の愛好
- 選ぶ自由
- 遊びより仕事を好むこども達
- 賞罰は無用
- 静けさの愛好者達
- お菓子を断る子ども
- 個人の尊厳という自覚
- 「書くこと」への爆発的な興味
- 読み方の発見
- 自発的な自己訓練
- 宇宙の法則
- 「これこそ神の国」
3章 発展
- 範囲の拡大
- 驚嘆した外交官
- 広い層からの共感
- 教育法に関するモンテソーリの初の著書
- 歴史に深く根ざして
- 反対意見に答えて
- モンテソーリ「運動」の誕生
- アメリカとモンテソーリ―予言的な夢
- 世界的な発展
- 各国での講演
- 前途を見つめて
- 尽きるところを知らない独創力
- さらに進められた研究
- 宗教指導
- 東洋におけるモンテソーリ
- その晩年
4章 すぐれた「代表的」人物
- 国際養成コース
- 個人的な交流
- 結びの句
- 「こどもの世紀」の「代表者」モンテソーリ
- 社会改革家としてのモンテソーリと平和の問題
- 波間が深いほど寄せる波頭も高い
- モンテソーリ、体験的なその人の印象
- 精神への呼びかけ
2部 発達心理
5章 幼い探検家
- 「頭が痛くなるような騒々しい混乱」
- 巨大なはめ絵パズル
- 空間の問題
- 自我と非自我の問題
- はめ絵パズル(続き)―想像、夢、現実
- 原因と結果の問題
- 時の神秘
- 創造の秩序
- ことばの神秘
- 三歳児の知的視野
- 幼い探検家
- 乳母車の中の哲学者
- 乳母車の哲学者を手伝って
- 「神意を知る使者」
6章 発達段階あるいは成長と変容
- 基本的原則
- 変容
- 身体的変容
- 精神的変容と発達の各段階
- 発達の第一期(0~6歳)
- 無意識から意識へ
- 直接の手助けはできない
- 手から吸収する
- 個性の建設
- 発達の第二期(6~12歳)
- 幼児期から児童期への変遷
- 群本能
- 論理的な思考の発展
- 異なる発達段階には異なる原則で
- 第三期―青年期(12~18歳)
7章 発達の中でみられる「敏感期」
- 発達の法則
- 生物学上の敏感期
- 敏感期の定義
- 人間の発達にみられる敏感期
- 尽きずに燃える炎
- ことばに対する敏感期
- 秩序の対する敏感期
- 秩序に対する敏感期の心理学的意義
- 秩序に対する敏感期と「かくれんぼ」
- 秩序に対する敏感期を通じて、おとなはどのように「赤ちゃん」の手助けができるか
- 秩序に対する敏感期とモンテソーリ・スクール
- 小さな物に幼いこどもが示す関心
- 感覚を洗練するための敏感期
- 正しい作法に対する敏感期
- 後になって現れる敏感期
- 敏感期の教育的価値
- 敏感期、燃ゆるばかりの知的愛着
- 学校での作業と敏感期
- 好機をとらえる
- 「私達の精神生活にある編み落とし」
- バスに乗り遅れる
- 「難しさは年齢と関係がない」
- 敏感期に応じて必要になる教科目の基本要素の再配分
- 現在に生きる
- より多くを―より少なくでなしに
8章 こどもの「仕事」―おとなの創り出す
- 比較
- 外面の目的と内面の目的
- 仕事と環境
- こどもの仕事に見られる異なったリズム
- こどもの生活のリズムを尊重する
- こども・神秘家・芸術家
- ゆがめられた現代の仕事の観念
- こどもの仕事を支配する法則とおとなのそれとの比較
- 仕事の喜び
- 幼児期に見られる反復の意味
- 仕事のサイクル
- 仕事で気分をさわやかに
- 規則あるところ例外あり―について
- こども達による自発的な仕事の組織化
- さらに規則あるところに例外ありの例外ありについて―スポーツマンと修道者
- こどもの「仕事」は「役に立たない」
- だがこどもの仕事が本当に役に立たないというわけではない
- 二つの依存状態
- 働く人とその仕事場
- よりよく仕事できる状態、あるいは精神的胎児の生活環境
- 教育改革の新しい考え方
- 自然界にみる例
- こどもの仕事と平和の問題
9章 知的生活の感覚的基盤
- 感覚教材と知力
- 将来を期待されるこども達
- 抽象概念の起源
- 幾何からの一例
- 数学に具体的な教材を使って
- 抽象化のプロセスにある本質的な要素
- 自発的な向上
10章 逸脱と正常、あるいは成長と内面指導力
- 成長の一般的な特徴―精神的な特徴と肉体的な特徴
- エネルギーの二つの流れ
- 肉体的な逸脱と心理的な逸脱を較べる
- こどもの発達に逸脱をもたらす恐れのある要因
- こどもに見られる逸脱のあり方
- 仕事を通しての正常化
- 集中力はその鍵
- 正常化されたこどもの特徴
- 正常化は教育の第一歩
- 究極的には発見者であるモンテソーリ
- 教育法と混同された発見
- 希望の星となったモンテソーリ運動
- 未来への望み
- 正常さを求めて
- 「新しいこども達」と原罪の教義について
3部 教育における運動の意義
11章 リリパット訪問、あるいはモンテソーリ・スクールでの一時間
特に目次なし
12章 本能と理性にかかわる運動
- 新生児を動物のこどもと比較する
- 理性の宿り
- 違いは種類にあって、程度ではない
- 神秘的な始まり
- 人間の理性
- 幼児に見られる理性のあけぼの
- 心理学における新たな一章
- こどもは自分の精神を造り出す
- 知性はその道具を作り出す
- こどもの見事な適応力
- 精神的胎児
- 精神と「肉体」
- 魂と身体の結合
13章 日常生活の活動
- 生物学的な要求である「結合」運動
- まねごとでなく本物の活動
- 日常生活の活動の分類
- たしなみと礼儀のレッスン
- 日常生活の動作、たしなみと礼儀のレッスンの示し方
- なぜ、まねは避けたいか
- 教えながら教えなさい
- 教えなさい!教えなさい!
- 完成への動機
- 動作の論理的な分析
- 幼い操り人形か
- 平衡運動
- 音をたてないゲーム
- 静けさを聴く
- 静寂と魂
- 静けさの声
- 静けさは自分自身への報酬
14章 運動と精神的同化作用
- 運動の重要性
- 二人の女性の直喩
- こどもは運動することによって自己を形成する
- 視覚教材だけでは十分ではない
- 動きの代用となるものはない
- 思考をともなわない行動
- ゲームの値うち
- 動作は統合運動でなくてはならない
- 統合運動と自由選択
- 「中心と周辺」
- 二重構造の成長リズム
- 周辺の要求を満たす
- 教材(マテリアル)
- 成功している教師と周辺
- 新しいタイプの教員養成
- 接点
- 接点は精密さをもたらす
- 接点はどのように発達と助けるか
- 「宇宙の謎をとく鍵」
- 接点を設ける
- 他のこども達を通じて設けられる接点
- 運動と集中力
- 運動・繰り返し・発見
- 突然の解明
- モンテソーリの「ほとばしり現象」
- 新発見につながる門口としての教材
- 観察は運動によって完結する
- モンテソーリの原理と「活動学校」運動
4部 新しい関係
15章 教育の基本問題
- 万国共通の抑圧
- 最後の革命
- こどもとおとなとの闘争
- 「忘れられた」市民
- こどもの権利
- 中断された科学者
- 幼い登山家
- はめ絵パズル
- 動機を誤解する
- 抑圧に対するこどもの反応
- 親、保母、先生のための矯正施設
- 後の発達段階における苦闘
- 正常性を求める闘いの効果
- 闘いはいかに終わるべきか
16章 整えられた環境、あるいは教育の第三要因
- 吸収する精神
- 整えられた環境は必要か
- 整えられた環境は自立と成長のため
- 保護する環境
- 活動できる環境
- 美しい環境、しかし…
- 環境は精神を解放しなければならない
- 整えられた環境にあるもの
- 環境内の秩序
- 秩序はエネルギーの浪費を防ぐ
- こども達と環境との間の信頼関係
- 秩序と感覚教材
- 教科への整えられた道
- 教師と整えられた環境
- 整えられた環境の限界―空間と数の問題
- 整えられた環境の限界―時間
- 精神への階段
- 整えられた環境とつながりを持つ先生のための実際的なルール
17章 教育における自由―その真偽「良いものほど堕落すると劣悪」になる
- 自由と独立の関係
- 自由か隷属か
- 自由と整えられた環境
- 実践の場でみるモンテソーリの自由
- 制約①集団にとっての利益
- 制約②選択には知識が先行しなければならない
- 制約③教材の正しい使い方
- 自由とおきては共存する
- 各教材は目的のための手段
- 例―はめ込み式の幾何図形
- エネルギーのはけ口をつくる
- 自由と閉鎖的な輪
- 自由とひたむきさ
- 自由と内面の指針
- 内面の命令
- 自由と仕事のサイクル
- 制約④環境内の教材の数について
- 自由の果実
- 刻苦勉励について
- こども達はむずかしい仕事を好む
- 自由と従順
- 社会生活をする自由
18章 モンテソーリ教師、あるいは女性の新しい職業
- 「新しいこども達」と「新しい先生」
- 先生の精神的訓練
- 罪はこどもを見る目を曇らせる
- 自尊心と怒り
- 暴君はどのようにして生まれるか
- 「奉仕する者として」
- 信頼の原則
- 役割の入れ替わり
- 自発性を触発する
- 教師と環境
- ダイナミックなきずな
- 外観と態度
- 静かな動作
- 教え方について
- もう一度―真の自由には制約がある
- こどもの自由は先生の権威を圧縮することになろうか
- 教師―太陽―光をもたらす人
- 励まし役としての先生
- あまり褒めすぎない
- モンテソーリ教師と不干渉の原則
- 詩人の直喩
- 抑圧は励ましよりやさしい
- 慎重な訂正と軽率な訂正
- 不介入とは文字通り介入しないことである
- こどもの同意を得る
- 観点の相違
- 美しい関係
- 最高の報酬
5部 モンテソーリとフレーベル
19章 モンテソーリとフレーベル―その類似点
- 両者とも偶然その天性を見出した
- 生まれつき素質のある人々のもつ合性
- 働きかける側はこども
- 教材を役立てる
- やわらかいろうのようなこどもの心
- 成長しつつあるこどもの変容
- 精神性格上の「編み落とし」
- 敏感期あるいは「発芽点」
- 探求者としてのこども
- 大宇宙と小宇宙
- 正常と逸脱
- こどもは、人類が過去に到達した文化を再びよみがえらせる
- 日常生活の活動
- 自主教育と自由
- モンテソーリとフレーベルは共に理想主義者である
20章 モンテソーリとフレーベル―その相違点
- それぞれの教育法の指導単位の比較
- 自発性をひたすら信じたモンテソーリ
- 整えられた環境―自発性と対をなすもう一方
- 遊びか、仕事か
- おとぎ話の問題
- おとぎ話に適した年齢
- 「幼い探検家」にハンディキャップを与えるな
- 架空の存在を現実に見る
- 想像力の発達
- 想像力は感覚的基礎に支えられている
- 創造的な想像力は現実をよりどころにしている―その例
- 現実か架空か
- 「人形の家」か「こどもの家」か
- 果てしない論争、あるいは二種類の知性
- 「仕事」と「遊び」の違いはなにか
- はたらく自由―新たなるもの
- 整えられた環境―モンテソーリとフレーベルとの基本的な違い
- 整えられた環境という小さな世界と、外の大きな世界とのつながり
- 「遊び」は発育のコースの中に位置を占める
- 「なにからであろうとなにかをつくり出す」はたして客観的な手がかりか、それとも主観的なてがかりか
- 世界観の違い
- 外の世界を内面に映し出す
21章 モンテソーリとフレーベル、それに初等学校
- 児童第二期への移り変わり
- 再び幼い探検家―より高度なレベルで
- 世間への旅立ちに備える教育
- ボーイスカウト活動
- 「組織化されたグループ」を通しての道徳的訓練
- 理性の年齢
- 「原動力」―支配的要因―を考える
- 興味の中心と放射線状の探究
- プロジェクト法
- 宇宙のカリキュラム
- 文化の種子を蒔く
- やはり欠かせない個別作業
- 発達こそつねに第一の目的
- 選択の自由もまた知識の基礎の上に確立されるべきである
- 想像力の正しい使い途
- 結びの句―論理よりさらに果てしなきこの生命
- 二つの依存状態
これらの内容が1冊の本に収録されています。
おわりに
目次だけでこの情報量でした…。
興味深い見出しが多くて、モンテッソーリ教育の沼にはまること間違いなし(笑)
モンテッソーリ教育をガチで勉強したい人は絶対に手元に置いておいたほうが良い1冊です!