モンテッソーリ教育の「感覚教育」とは?

本記事のリンクには広告が含まれています。

モンテッソーリ教育における「感覚教育」は、子どもの五感を通じて周囲の世界を理解し、知識を深めるための重要なアプローチです。

この教育法は、子どもが自分の感覚を洗練させ、環境とより深く関わることを促すもので、子どもの感覚探究活動をサポートします。

モンテッソーリ園では必ず教具の導入がありますが、一つ一つの教具が高額であるため、自宅への導入、つまり、おうちモンテッソーリで取り入れるには難しいというのは有名な話です。

理論を知っていれば手作りやおもちゃなどで、いくつかの目的を果たす道具の代替は可能です。

まな

ただし、本物の教具を使った場合のように、全ての目的を達成できるものではありません。

また、教具をもし自宅に買い揃えたとしても、モンテッソーリ園とは同じ効果を得られないことも、前もってお伝えしておきたいです。

まな

教具以外にも環境を整える必要があるため、その環境が欠けていれば、再現はされません。

目次

感覚教育の目的

モンテッソーリ教育の中核をなす「感覚教育」は、子どもの感覚器官を通じて知覚を洗練させ、環境との相互作用を通じて知的成長を促すことを目的としています。

モンテッソーリ博士は、子どもが環境から吸収した無数の印象を整理し、知覚を洗練することが重要であると考え、感覚教具を作り出しました。

モンテッソーリ教育において、感覚教育は幼少期の発達に特に重要であり、その時期に身につけた感覚的な能力や知覚は、後の人生においても基盤となります。

たとえ感覚器官を使うことが専門的な職業に直結しないとしても、この感覚教育によって得られる知的基盤や知覚の整理力は、一生の財産となります。

幼少期に感覚器官を鍛えることは、知性の成長を促進し、将来的な抽象的思考や学習能力を高めるための基礎を築くものです。

1.「感覚器官の洗練」

感覚教育の中心的な目的は、「感覚器官の洗練」です。

モンテッソーリ博士は、感覚器官を通じて子どもが世界を知覚し、その知覚を洗練することで、より正確で豊かな知識が得られると考えました。

具体的には、子どもが色、形、大きさ、音、質感などの違いを識別し、細かい違いに気づく能力を養うことが重視されます。

モンテッソーリ博士が考案した教具は、この感覚の発達を助けるために段階的かつ体系的に構成されています。

例えば、色を識別するための教具では、同じ形状や大きさの板に異なる色を用いることで、色そのものに集中させます。

同様に、音の教具では、形や大きさは同じでありながら異なる音を出すベルを使い、音の違いに注意を向けさせます。

このように、一つの性質を際立たせること(感覚の孤立化)で、子どもは他の刺激に惑わされることなく、特定の感覚を集中して研ぎ澄ますことができるのです。

集中現象のきっかけを生む活動でもあり、とても重要です。

2.「知覚の整理(印象の整理)」

感覚教育のもう一つの重要な目的は、「知覚の整理」です。

子どもたちは幼少期から多くの印象を無意識に環境から吸収していますが、それらの印象は必ずしも秩序立てられていません。

モンテッソーリ教育は、子どもがこの無秩序な印象を整理し、理解しやすい形でまとめる手助けをします。

3.「抽象化の準備」

無秩序だった印象の整理が進むことで、子どもは抽象的な概念を理解し始め、より高度な知的活動に備えることができます。

モンテッソーリの教具は、子どもが自発的に興味を持ち、繰り返し使いたくなるように設計されています。

この自発的な反復を通じて、子どもは自身の知覚を確認し、整理し、より深い理解へと導かれます。

感覚教育を通じて得られた知識は、将来的な学習の基盤となり、抽象的思考力の発展に繋がるものです。

4.「数学的精神の発達」

感覚教育は、子どもの「数学的精神」の発達にも大きく貢献します。

モンテッソーリ博士が言う「数学的精神」とは、ものごとを正確に評価し、秩序立てて理解する力のことです。

感覚教育を通じて、子どもは環境の中で出会うさまざまな性質を分類し、それをもとにして正確に思考する能力を養います。

この精密さや秩序が、後の数学的な理解や論理的思考力の基礎を形成するのです。

モンテッソーリは、子どもが感覚教具を使って繰り返し活動することで、秩序と正確さを学び、それが自発的な活動の手引きになると考えました。

感覚教育を受けた子どもは、一般の学校でよく見られる「数学が苦手」という壁を感じることなく、むしろ数学に対する興味と好奇心を深めることができます。

感覚教育は、単なる数学の基礎を教えるものではなく、知識と想像力、抽象的思考の発達を同時に促進するという点で、より広範な教育的価値を持っています。

感覚教育で得られるもの

感覚教育は、感覚器官を通じて得た知覚体験を通じて、子どもの知的発達を支えます。

特に、幼少期は基本的な概念や知的な習慣が形成される重要な時期であり、この時期に感覚を鍛えることは、将来の学習や生活においても大きな影響を与えます。

たとえ感覚教育によって得た能力が後に使われなくなったとしても、子どもがその経験を通じて得た知的な基盤は、一生の財産となります。

感覚教育はまた、子どもの個々の発達を支援するだけでなく、教育者が子どもの感覚的な弱点を早期に発見する手助けともなります。

例えば、聴覚や視覚に問題がある場合、感覚教具を通じてそれを早期に発見し、適切なサポートを行うことが可能です。

おわりに

モンテッソーリ教育における感覚教育は、子どもが持つ感覚器官を通じて世界を理解する力を育む重要な方法です。

感覚教具を通じて、子どもは外界の細部を識別し、環境との接触を通じて知識を深めます。

また、感覚教育は、抽象的思考や数学的精神の発達にも寄与し、子どもがより正確で論理的な思考力を身につけるための基盤を提供します。

このように、感覚教育はモンテッソーリ教育の中核を成すものであり、子どもの知的成長を多方面からサポートします。

まな
幼児教室指導員 / ベビー知育インストラクター / おもちゃコンサルタント
モンテッソーリ理論の理解を深め、おうちモンテッソーリに応用する方法を研究中。医学論文や育児書を読み漁るのが好きな1児ママ。田舎で3歳児を子育て中。国際モンテッソーリ資格有。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次