赤ちゃんの成長を助けるおもちゃとして、モビールやメリーが注目されています。
中でも、モンテッソーリ教育で使われるモビールは、一般的なメリーとは目的やデザインが大きく異なり、赤ちゃんの発達に特化した独自の意図を持っています。
本記事では、モンテッソーリのモビールと一般的なメリーの違いをさまざまな観点から詳しく解説します。
まな
知育講師 / 国際モンテ資格有
・幼児教室指導員
・おもちゃコンサルタント
・ベビー知育インストラクター
・キッズ知育インストラクター
・知育玩具アドバイザー
・育脳式積み木インストラクター
・食生活指導士
・乳幼児食指導士 etc.
子どもの発達について日々知識をアップデートしている1児の母。モンテッソーリ教育法研究中&保育士資格の勉強中。
モビールとメリーの違いとは?
モンテッソーリのモビール | 一般的なメリー | |
---|---|---|
目的 | 赤ちゃんの視覚や感覚の発達を促す。集中力を育てる。 | 赤ちゃんを楽しませたり、リラックスさせたりする。 |
デザイン | シンプルで視覚刺激を重視。白黒や幾何学模様、微妙な色合いが特徴。 | キャラクターや動物など、華やかで親しみやすいデザイン。 |
効果 | 視覚の発達や目で追う動作の練習、集中力や協調性の向上をサポート。 | 音楽やライトの演出でリラックス効果や楽しさを提供。 |
設置方法 | 赤ちゃんの視界に自然に入る高さ(約30~35cm)に設置。 | ベビーベッドやプレイマットに取り付けて頭上に吊るすものが多い。触ろうと思えば触れる位置。 |
仕組み | 自然な風や揺れで動く。モーターや音楽機能はなし。 | モーターによる自動回転や音楽、ライト付きのものが主流。 |
使用時期 | 生後すぐから生後2、3ヶ月まで。見るモビールは見る時期に限定され、手足が動き始めると触るモビールに移行する。 | 生後すぐから、動き回るようになるまで長期間使用可能。 |
素材 | 紙や軽量素材を使用。赤ちゃんが触れない位置に設置される。 | プラスチックや布素材が多く、直接触れることを考慮した作り。 |
安全性 | 赤ちゃんが直接触れないため高い安全性。しかし、手作りの場合は正規品と異なり安全性は怪しい。 | 電動部分や小さなパーツの安全性に注意が必要。 |
音と光 | なし。視覚刺激に特化。 | 音楽やライトが搭載され、赤ちゃんを楽しませる工夫が豊富。 |
価格帯 | 手作りなら比較的安価。既製品や正規品は高価。 | 音楽やライト付きのものなど多機能なものは比較的高価な場合が多い。 |
モビールとメリーの違いについて知ることで、モンテッソーリ教育のモビールがなぜ発達に良いのか、理解することができます。
それぞれの違いについて、より詳しく解説をまとめてみました。
目的の違い
モンテッソーリのモビール
モンテッソーリ教育で使用されるモビールの目的は、赤ちゃんの感覚や視覚の発達を促進することです。生後すぐから使えるようデザインされ、赤ちゃんが目で追いかける練習を通じて集中力を育みます。また、視覚刺激を与えながらも落ち着いた環境を提供するのが特徴です。
一般的なメリー
一方、一般的なメリーの目的は、赤ちゃんを楽しませたりリラックスさせたりすることです。音楽やライトを使った華やかな演出が多く、赤ちゃんを泣き止ませるための便利グッズとして使用されることもあります。
デザインの違い
モンテッソーリのモビール
モンテッソーリのモビールは、視覚的な発達段階に応じてデザインされています。例えば、白黒のコントラストを使った「ムナリモビール」は、生後すぐの赤ちゃんに最適です。その後、カラフルな「オクタヘドロンモビール」や、微妙な色の変化を持つ「ゴッビモビール」へとステップアップします。これらのデザインはシンプルで、余分な刺激を与えないことを重視しています。
一般的なメリー
一般的なメリーは、キャラクターや動物のぬいぐるみ、カラフルなライトなど、見た目に楽しいデザインが主流です。赤ちゃんだけでなく、親にも視覚的に楽しめる要素が多く取り入れられています。
効果の違い
モンテッソーリのモビール
赤ちゃんの視覚や集中力を育てる効果が期待できます。静かな環境で使用することで、赤ちゃんは物を見ることに集中し、目で物を追う練習ができます。これにより、後の手と目の協調性の発達が促されます。
一般的なメリー
音楽やライトで赤ちゃんをリラックスさせたり、眠りに導いたりする効果があります。ただし、刺激が多すぎると赤ちゃんが疲れてしまうこともあるため、使用時間には注意が必要です。
寝かしつけ目的と遊ばせる目的では、選ぶべきデザインが異なります。
設置方法の違い
モンテッソーリのモビール
赤ちゃんの視界に自然に入るよう、顔から約30~35cmの高さに設置します。見ることが目的であるため、触れる位置には吊るしません。また、自然な風や揺れで動くように作られています。これは赤ちゃんが目に追えるゆっくりとしたスピードであり、自分のペースでモビールを観察できます。不規則な動きをするので飽きにくいです。
一般的なメリー
ベビーベッドやプレイマットに取り付けるタイプが一般的で、多くの場合はモーターで回転する仕組みになっています。動きや音楽で赤ちゃんの興味を引きつけますが、機械的な動きが赤ちゃんに過剰な刺激を与える場合もあります。単調な動きになりやすく、回るスピードの速さが速いので赤ちゃんの成長に合わない場合があります。
使える時期の違い
モンテッソーリのモビール
モンテッソーリのモビールは、生後2週間頃から2~3ヶ月までの期間が最適です。赤ちゃんの発達に合わせて、白黒のモビールから色付きのモビールへと切り替えていきます。
生後すぐから吊るして使えますが、目の焦点が合いはじめるのが生後2週間頃からと言われています。
見るモビールの時期が終わると触るモビールの時期に移行します。
一般的なメリー
一般的なメリーは、生後すぐから使用できるものが多く、赤ちゃんが自分で動けるようになるまでの期間、長く使えるものが一般的です。
安全性の違い
モンテッソーリのモビール
モビールは赤ちゃんが直接触れない位置に設置するため、パーツが外れる危険性が少なく、安全性が高いと言えます。また、素材も赤ちゃんが安心して使えるものが推奨されています。
自分で手作りするDIYの方法もあり、この場合はそれぞれ安全性は変わって来ます。
一般的なメリー
多機能で動きのある設計が多いため、動作部分の安全性や素材のチェックが必要です。特に、電動部分が壊れるリスクがあるため、定期的な点検が欠かせません。
モンテッソーリ教育以外のモビールとの違い
発達の段階に合わせてサポートするモビールを吊るすので、一般的なモビールと違い、短期間でどんどんと種類を変えていくのがモンテッソーリモビールの特徴です。
モンテッソーリ教育以外のモビールには、インテリアやアート作品として作られたものもあります。
これらはデザイン性が重視され、教育目的というよりも親の好みに応じて選ばれることが多いです。
モンテッソーリのモビールは、教育的な効果を最優先に考えて作られている点が大きく異なります。
おわりに
モンテッソーリのモビールと一般的なメリーには、目的、デザイン、効果、安全性、使用期間など、多くの違いがあります。
赤ちゃんの成長に合った選択をすることで、より適切な環境を整えられるでしょう。
モンテッソーリのモビールは視覚や集中力を育む教材として、一般的なメリーは赤ちゃんを楽しませたりリラックスさせたりするツールとして、それぞれ異なる役割を果たします。
モンテッソーリの理念を取り入れる場合は、赤ちゃんの発達に応じたモビールを選び、自然な動きやシンプルなデザインを活かすことが大切です。
一方で、一般的なメリーは手軽さや親子で楽しめる点が魅力です。
それぞれの特徴を理解し、赤ちゃんに最適な選択をしてみてください。