モンテッソーリ教育におけるモンテッソーリ棚の役割とは?

モンテッソーリ教育は、子ども一人ひとりが主体的に学び、成長することを重視する教育法です。

その教育環境の一つとして欠かせないのが「モンテッソーリ棚」です。

多くの教育施設やモンテッソーリ教室で見られるこの棚ですが、実際にはどのような役割を果たしているのでしょうか?

今回は、モンテッソーリ棚が持つ役割や、棚がもたらす効果について、モンテッソーリ教育の理論に基づき解説します。

目次

モンテッソーリ棚とは何か?

モンテッソーリ棚は、モンテッソーリ教育を実施する環境整備の一部として作られた家具です。

この棚には、子どもが自分で選び、取り出して活動できるよう、教具やおもちゃが整然と並べられています。

棚に整然と物が並べられることで、子どもにとっての「秩序」や「選択の自由」を与えることができます。

まな

たくさんある教具を整然と、かつ、子どもの見える高さに並べるための収納として、棚という存在は画期的です。

一般的なおもちゃ収納を思い浮かべてみると分かりやすいですが、ゴミの分別のように、おもちゃ箱の中に収納してしまうやり方はおすすめできません。

雑然としていて視界がごちゃつき、次にする活動選択に迷いが生じやすいです。

箱の中にあることで教具そのものが見えなくなってしまうと、興味を持つために必要な刺激を視覚的に受け取ることもできなくなってしまいます。

秩序を提供する

モンテッソーリ教育において「秩序」が非常に重要な概念です。

秩序は子どもが安心感を持ち、集中して活動に取り組むための土台となります。

モンテッソーリ棚は、この秩序感を育むために、特定の場所に一定の物が置かれるよう設計されています。

まな

モンテッソーリ棚は秩序の提供と安定感のある学習環境の構築をしています。

自ら選択する自由を促す

モンテッソーリ教育では「自己選択の自由」が重要視されます。

モンテッソーリ棚には教具が並べられ、子どもが自分の興味に応じて自由に選ぶことができるようになっています。

自由に選択することで、子どもは自らの意思に基づいて活動を選ぶ責任感を学びます。

まな

この「選択の自由」を促進する仕組みが、モンテッソーリ教育の一環であり、子ども自身が学びたいことを主体的に選び、集中する力を育む効果があります。

子どもの集中力と自己規律をサポート

モンテッソーリ教育は、子どもが「集中して活動する力」を養うことを重要視しています。

モンテッソーリ棚に並ぶ教具は、子どもが一つの活動に集中しやすいよう工夫されています。

秩序立った配置や教具の種類によって、子どもは一度に一つの活動に取り組み、次の活動に移る際には、片付けと選択のプロセスを踏むことになります。

集中して取り組む環境を提供することで、子どもは徐々に自己管理能力を身に付け、次第に自己調整の力を発達させます。

まな

この棚があることで、子どもは自然と自己管理のサイクルを形成し、学びの中で重要な集中力や自己規律が培われるのです。

目的意識と達成感を育むサイクル

モンテッソーリ棚には、使用後に教具を元の場所に戻すという「片付け」のサイクルが含まれています。

これにより、子どもは自分の活動に責任を持ち、やり遂げた感覚を得られるようになります。

片付けはモンテッソーリ教育における重要なプロセスであり、活動を完了するという意識を高めることで達成感を生み、自己効力感を向上させます。

また、このサイクルを通じて、「物の定位置を守る」という秩序感が自然に身につきます。

まな

棚の役割は、子どもが「自分の行動の始まりと終わり」を認識し、自律的な行動を身に付けるプロセスの一部として機能しているのです。

環境と教具へのアクセスを容易にする

モンテッソーリ棚は、子どもが教具に簡単にアクセスできるように設計されています。

棚の高さは子どもの目線に合わせられており、教具が見やすく、手に取りやすいよう配置されています。

これは、子どもの身長や発達段階に合わせた「子ども中心の設計」を意識した結果であり、子どもが無理なく自分で行動できる環境を整えることで自信を持たせる効果があります。

集団生活での協調性を促進する役割

モンテッソーリの環境は、集団生活での協調性も重視されています。

教室では、複数の子どもたちが一緒に活動するため、教具が使い回されます。

モンテッソーリ棚は、共有物としての教具がきちんと整理され、他の子どもも使える状態を保つことに寄与しています。

このように共有の棚を利用することで、子どもは他者の存在を意識し、互いに協力しながら秩序を保つことを学びます。

協調性や社会的スキルを育てる場としても、モンテッソーリ棚は大切な役割を果たしているのです。

まな

複数の子どもが教具を順番に使う環境において、棚がきちんと整理されていることが、自然な形で子どもに協力や配慮の姿勢を促します。

おわりに

モンテッソーリ棚は、単に物を収納する家具ではなく、子どもが自ら選択し、責任を持って活動に取り組むための重要なツールです。

秩序を提供し、子どもが自己管理しやすい環境を作ることが、モンテッソーリ教育における棚の大きな役割です。

棚の存在によって、子どもは自立と自律を学び、集団生活での協調性や集中力も育まれます。

モンテッソーリ棚は、子どもの成長に寄り添い、主体的な学びをサポートするための教育環境を整えてくれる存在です。

まな
幼児教室指導員 / おもちゃコンサルタント
モンテッソーリ理論の理解を深め、おうちモンテッソーリに応用する方法を研究中。医学論文や育児書を読み漁るのが好きな1児ママ。田舎で3歳児を子育て中。国際モンテッソーリ資格有。

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