モンテッソーリ理論で考える優しい子どもに育てる方法

モンテッソーリ教育は、子どもの自主性や自己決定を重視する教育法ですが、その中で「優しさ」や「共感」を育てるための方法も豊富に用意されています。

この記事では、モンテッソーリ教育の理念に基づいた優しい子どもに育てる方法を紹介します。

目次

優しさを強制しないこと

子どもに他人への優しさを教えるのは、一見、親として正しいことのように思えますが、実はそれは条件反射の優しさを作っているに過ぎません。

強制された優しさは、外部からの刺激によって生じる反応であり、内面から湧き上がる本物の優しさとは異なります。

モンテッソーリ教育では、まず子どもが自分自身を理解し、自立することが真の優しさを育むための第一歩と考えています。

子どもが自分の身体や感情をしっかりと理解し、自立している状態であれば、自然と他者への配慮が生まれてきます。

まな

これは、大人が優しさを強制するよりも、はるかに効果的な方法です。

自立と優しさ

モンテッソーリ教育では、子どもが個人活動を通じて自分自身を確立することを大切にしています。

子どもが一つの活動に集中し、その活動を成功させることで自分自身に対して自信を持ち、やがて、それが他者にも目を向ける力を育ててくれるのです。

大切なのは、子どもが自分自身に満足し、自立できるようにサポートすること。

まな

この自立こそが、自然な優しさを引き出すための土台になります。

自由な選択と責任感の育成

モンテッソーリ教育では、子どもが自分の興味に基づいて学び、活動を選択する自由があります。

この自由は、子どもに責任感を与え、自分の行動が及ぼす他者への影響を考える機会となるのです。

モンテッソーリ博士は、子どもが適切に導かれた環境で自己選択を行うことにより、自らの行動に責任を持つことができると主張しています。

まな

この自由な選択は、子どもに自主性を与え、自己決定感を育むことができます。

心理学者のデシとライアンによる「自己決定理論」によれば、自己決定感は人間の基本的な心理的ニーズの一つであり、これが満たされると内発的動機づけが促進されます。

モンテッソーリ教育は、この理論に基づく実践といえます。

子どもは自由に選んだ活動に責任を持ち、その活動を完遂することが求められます。

例えば、子どもが選んだ教材を使う場合、その教材を丁寧に扱い、使い終わったら元の場所に戻すというルールがあります。

まな

これにより、子どもは自分の行動に責任を持つことを学び、また他者への配慮も養われます。

感情の表現と理解

モンテッソーリ教育では、感情を理解し、適切に表現する力を育てることも重視されています。

子どもが自分の感情を言葉で表現することで、他者の感情を理解しやすくなります。

大人は、子どもが感じていることを聞き、その感情を受け入れることが重要です。

これにより、子どもは他者に対する共感を学びます 。

社会的な活動の提供

モンテッソーリ教育では、共同作業や社会的な活動を通じて、子どもたちが他者との関係を築くことを重視します。

グループ活動やプロジェクトを通じて協力し合う経験をすることで、子どもは優しさや思いやりの大切さを学ぶことができます。(主に児童期以降のモンテッソーリ教育)

また、役割を分担することで、他者を尊重する態度も育まれます。

子どもの発達に合った優しさの育て方

乳幼児期の子どもたちはまだ、自分自身を形成している段階です。

この段階で無理に大人のルールや価値観を押し付けることは、かえって反発やストレスを生む原因となります。

大人の目線から見ると「優しさ」を教えることは大切なことですが、教える方法が子どもの発達に合わないものであれば、逆効果になってしまいます。

たとえば、新人社員がまだ仕事に慣れていないうちに、他人の仕事を手伝うように求められたときのことを想像してみてください。

自分の仕事もままならない状態で他人の仕事を手伝うことを強制されれば、反発的な気持ちが生まれるでしょう。

もしも、言われるがままに手伝いをすることに慣れてしまったなら、言われたことだけをする自発性のない優しさを作り出すことになります。

でも、自分の仕事ができるようになり、自立した後では心に余裕が生まれますよね。

「何か手伝いましょうか?」という気持ちや言葉も自然と出てくると思います。

これと同じように、子どもも自分自身がまだ確立していない状態で他者への配慮を求められても応えられません。

まな

まずは、自立した状態になることが最優先なのです。

子どもの優しさを育てるコツ

子どもは大人の行動を観察し、その行動から学びます。

教育者や保護者が優しさや共感を示すことで、子どももそれを自然に学び取ります。

たとえば、他人に対して親切に接したり、困っている人を助ける姿を見せたりすることで、子どもは「優しさとは何か」を実践的に学ぶことができます  。

まな

優しさは行動を指示して教え込むものではなく、大人が日々の行動で示し、それを子どもが自分なりに感じ取り、学んでいくものです。

発達に寄り添ったアプローチを大切にする

子どもたちは、非常に賢く、大人が思う以上に多くのことを学んでいます。

子どもの発達に合わない早期教育や強制的な教え方は、かえって子どもの成長を妨げる可能性も。

特に優しさという概念は、非常に複雑で、大人でさえ解釈を間違ってしまうことがあります。

だからこそ、子どもの発達に寄り添い、強制するのではなく、自然な形で優しさが育つ環境を提供することが大切です。

乳幼児期前半においては、発達の段階で自己中心的な視点しかない時期であり、他者の視点を持ち合わせていません。

なので、いくら言っても他人の気持ちを理解しようとしない!と腹を立てる必要はなく、脳が育つ過程で、徐々に他人視点を身につけていきます。

これは個人差や環境による影響があるものなので、他の子と比べて落胆する必要はないです。

まな

乳幼児期後半より、他者視点が育ってくるため、他人の気持ちというものも理解できるようになって来るので、焦らなくて大丈夫!

おわりに

優しい子どもに育てるには、まずは子どもの自立を促し、優しさを強制しないことが大切です。

モンテッソーリ教育では、個人活動を通じて自分自身を確立し、自然と他者への配慮が生まれるように育てていきます。

大人は見本を示し、子どもが自分で優しさを感じ取り、行動に移せる環境作りをしましょう。

このアプローチを通じて、優しさや思いやりを持つ子どもが自然と育っていくと思います。

まな
幼児教室指導員 / おもちゃコンサルタント
モンテッソーリ理論の理解を深め、おうちモンテッソーリに応用する方法を研究中。医学論文や育児書を読み漁るのが好きな1児ママ。田舎で3歳児を子育て中。国際モンテッソーリ資格有。

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