モンテッソーリ教育では、環境を整えることが重要視されます。
その中でも「片付け」は、秩序感を育む大切な活動の一つです。

子どもがなかなか自分から片付けをしてくれないけど、どうしてあげたら良いんだろう?
子どもが片付けをしないことに多くの親が悩んでいます。
モンテッソーリの視点から見ると、子どもが自然と片付けをしたくなる環境を整え、適切なアプローチを取ることで、その習慣を育むことは十分に可能です。
本記事では、モンテッソーリ教育における片付けの考え方、年齢別のサポート方法、そして実践中の娘の様子などを詳しく解説します。


・幼児教室指導員
・おもちゃコンサルタント
・知育玩具アドバイザー
・国際モンテッソーリ資格 etc.
3歳子育て中 1児の母。モンテッソーリ教育に対して最初は懐疑的だったが理論を学ぶうちに解釈が変わる。教具よりもメソッドを中心に研究。分かりやすい解説をシェアしたい。
モンテッソーリ教育における片付けの考え方
モンテッソーリ教育では、「秩序の敏感期」 という概念があり、特に 0〜6歳の時期 に秩序を求める心が強くなるとされています。


この時期に片付けの習慣を身につけることで、子どもは自然と整理整頓を好むようになります。



子どもは本来、整理整頓好きなのです。
片付けの目的
秩序感の発達
モンテッソーリでは「環境が整っていることで、心も安定する」と考えます。
物が定位置にあることで、子どもは安心感を抱いて生活できるようになります。
社会性や自己管理能力の向上
片付けを通して、自分の使ったものを元の場所に戻す習慣を身につけます。
これは将来的に、学校生活や社会での自己管理能力につながります。
物を共有することが必要となる他人との共生社会においては、決まった場所に物を戻すというルールは鉄則です。
乳幼児期のモンテッソーリ教育では、共同で何かをする活動のイメージがないため誤解をされがちですが、間接的に、社会性を身につけるための手順を踏んでいます。
ルールを守るためには決まり(秩序)を守らなければなりません。
秩序を保つためには、全てのモノ・コトが一定に保てるような努力が必要です。



物を定位置に戻す練習をしながら、実は社会性を育てています。
集中力の育成
片付いた環境では、気が散りにくく、集中して遊ぶことができます。
自分で環境を整えることで、自己決定の感覚を養います。
自主性の源
物の位置を自分で把握することにより、自分がやりたい活動を自分のタイミングでやることが可能です。これは、自主性を育てるための大事な部分。
物の場所が自分では分からない、自分で触れない場所では自主的な活動の範囲は広がりません。
身の回りのことを把握しているからこそ、自由に活動ができるようになります。
子どもが自然と片付けたくなる環境づくりのポイント
片付けやすい収納を用意する
子どもが片付けを習慣化するには、「どこに片付けるのか」が明確であることが大切です。
オープン収納にする:引き出しではなく、子どもが見てわかる棚を用意する。
おもちゃの数を減らす:おもちゃの数を限定し、選びやすくする。
片付けの流れをシンプルにする
片付けが面倒だと感じると、子どもはやりたがりません。以下の工夫が効果的です。
「使ったら戻す」のルールをつくる
「次のおもちゃを出す前に、今のおもちゃを片付ける」習慣をつける。
1日の終わりには必ず元の場所に戻す
次の日の朝にはリセット状態になっていることが大切。
おもちゃ棚にラベルや写真は貼らない
棚への写真やラベル貼りは不要です。
本家モンテッソーリメソッドでは、この方法をお勧めしません。
「子どもが分かりやすいから」とされる方は多いですが、子供は記憶力が良いので、そんなものがなくても物の位置を十分に記憶します。
どちらかというと、大人の方が分からなくなるから、そのためのものですね。



子どもにとっては、与え過ぎのサポートになりますので、出来れば貼らないでください。
【年齢別】子どもの片付けをサポートする方法
0〜1歳:片付けの基礎を作る
この時期は「片付けを教える」というよりも、 片付けを見せる ことが大切です。
- 大人がゆっくりと片付ける姿を見せる。
- おもちゃを戻す動作を一緒にやってみる。
1〜2歳:片付けを手伝う
1歳後半になると、「簡単な片付け」ができるようになります。
- 親子で一緒にやりながら習慣化する。
- 「この絵本を棚に戻してくれる?」と、一つずつ頼む。
- 片付けた後に、「すっきりしたね!」と気持ちよさを伝える。
2・3歳以降:自分で片付けをする習慣をつける
この頃になると、子どもは「自分でやりたい!」という気持ちが強くなります。
「おもちゃを元の場所に戻す」ルールをしっかり伝えましょう。
繰り返しおこなっているうちに、自分から片付けるようになります。
決めた場所と違う場所に子どもが片付けている(片付け方を間違えていたらどうする?)
子どもが間違っていると、ついつい、「その場所じゃないよ」と訂正したくなるかもしれませんが、そのまま(間違えたまま)にしておいてください。
1日の終わりに大人がリセットしておきましょう。
翌朝、見たときにはまた、いつもの位置に物が戻っているという形にしていればOKです。
子どもの目の前で「違うでしょ、こっち」といちいち訂正するのではなく、物が同じ位置にあるという事実によって、正しい秩序を示します。
それを繰り返すうちに、子どもが自分自身で物の位置を覚えていき、次第に正しい場所に戻せるようになっていくので、それまで忍耐強く続けてください。
子どもが片付けをしないときの対応策
片付けを強制しない
「片付けなさい!」と怒ると、子どもは片付けを嫌いになってしまいます。
代わりに、「一緒に片付けようか」と誘うのが効果的です。
「今日はお母さんが代わりに片付けるね」などと片付けるのでも良いです。
乳幼児期の子どもはまだまだ気分屋で、やったりやらなかったり。



出来ない日があっても、仕方ないです。
やりたがらなければリセット方式で
どうしてもやりたがらない場合は、とにかく1日の終わりには元の位置に戻しておき、翌日には元通りになっているという状態を作るようにしましょう。
物の位置が分かるようになれば、自主性は育めます。
片付けたいという気持ちが生まれた時に、場所の秩序が身についていれば、片付けることも容易になります。
片付けができる環境を見直す
もし子どもが片付けない場合、収納がわかりにくい可能性があります。
オープン棚や物の数を少なくするなど、シンプルな配置を心がけ、子どもが迷わずに片付けられる環境を作りましょう。
オープン棚や物の数を少なくするなど、シンプルな配置を心がけ、子どもが迷わずに片付けられる環境を作りましょう。
片付けの時間を決める
「寝る前に片付けよう!」など1日の終わりには必ず片付ける時間を作ると、習慣化しやすくなります。
2歳〜3歳の娘の片付け実践具合はどんな感じだったか?
子どもの家では、マンツーマンであるため、片付けの必要性があまり感じられず(他人が使うから元通りにする必要があるということ)、その都度、片付けるということはしていません。
もちろん、その都度、片付けながらする活動もありますが、娘の活動の仕方が、「また後でしよう」という想いがある活動は出しっぱなしにしているようです。
もう使わないと判断したものは片付けてるようです。
ですが、必ず帰る前には自分で片付けをし始めて、全て時間内に片付けて帰ります。
家での片付けも、やはり、一人っ子ゆえ、片付けの必要性をまだ感じていないようで、その都度片付けることはしません。
お出かけする前に片付けよう?とか寝る前に片付けよう?というタイミングで片付けてくれます。
実際の片付けの様子を記録
まとめ
モンテッソーリ教育では、片付けは単なる家事ではなく、 子どもの秩序感や自己管理能力を育てる大切な活動 です。
- 片付けやすい環境を整える(オープン収納、ラベル、物の数を減らす)
- 片付けをシンプルにする(ルールを決める)
- 年齢に応じたアプローチをする(0歳は見せる、1歳は手伝う、2歳は習慣化)
- 子どもが片付けないときは環境を見直し、強制しない
「片付けなさい!」ではなく、「片付けると気持ちがいいね」ということを伝えたり、実際に毎日元通りになってる状態を見せたりすることで、子どもは自然と片付けを意識します。